モンテ・クリスト伯

ヘンリー・カヴィルとしての俳優デビュー作

次にご紹介するのはカヴィルさんが公の映画として初めて出演することになった2002年に公開された映画『モンテ・クリスト伯』という映画について説明をしていきましょう。この作品の原作を描いたのが中世ヨーロッパで活躍したフランスの小説家『アレクサンドル・デュマ・ペール』だ。彼の作り出す小説のほとんどが当時のフランスを中心に大ヒットを繰り出すことになり、やがて フィリップ王の五男である『モンバンシエ公爵』の庇護の下で、自身が書き記した歴史小説を劇場作品にして公開し、巨万の富を獲得することになった当時の作家としては成功を掴んだ人物、と評して問題ないだろう。

この映画がイギリスを始めとして、アイルランドとアメリカの参加国共同で開発された映画となっているが、ストーリーなどの諸設定には大幅な改変が施されているので、作品のファンからすれば全く異なる新しい作品であるという見方がある。ではそんな作品のあらすじから紹介をしていこう。

あらすじ

1814年、フランス皇帝ナポレオンがエルバ島に島流しとなったころ、港町マルセイユで育った航海士である『エドモン・ダンテス』と伯爵の子息である『フェルナン・モンデーゴ』という二人の青年が、共に親友としての友情を育んで生活をしていた。そんな時エドモンは乗っていた船の船長が病に倒れてしまったこともあったため、エルバ島によるときがあった。その時、ナポレオン本人から『私的な手紙』として『友人』のクラリオンという人物に手紙を届けてほしいという依頼を受けたので、快くそのことを承諾するのであった。その後帰港したダンテスは咄嗟の機転から船長の命を救ったとして船長へと昇格することになり、さらに同時に交際していたメルセデスとの結婚の準備を始めたこともあって、ダンテスにとっては人生の幸せという絶頂の真っ只中にいた。ところがメルセデスとの結婚式の最中にダンテスは、自分が何をしたのかも分からないまま逮捕されてしまうのであった。それは親友であるモンデーゴが彼の愛するメルセデスを手に入れる、またダンテス本人の対して差別的な思考を持ちたいということから謀反の罪をでっち上げた結果、ダンテスは身に覚えのない嫌疑をかけられてしまうのだった。しかし謀反の罪というのはナポレオンからの手紙ということで、その内容というのも島からの脱出を記したものだったということが判明した。その後自分は何も知らない、そして無学のために識字という知識も備えていないこともを検事代理のヴィルフォールに話して、無罪放免となると思いきや彼の不幸は重ねて起こってしまうのであった。ナポレオンが書き記した手紙のあて先としてクラリオンと聞いていたダンテスがそのことについて話すと、ヴィルフォールはダンテスをイフ城に投獄するようにとの罪をでっち上げてしまうのだった。このクラリオンというのがヴィルフォールの父のことを指しており、ヴィルフォールは保身のために証拠隠滅を兼ねて手紙を処分・ダンテスに全ての罪を背負わせることで解決するという非道な手口で事件に幕を下ろすことにしたのだった。こうした何もかも失ってしまったダンテスはイフ城で13年という時間を過ごすことになってしまうも、トンネルを掘って脱獄を企てているファリア司祭に出会ったことでトンネル作りを手伝う傍らで、神学や剣術など様々な教養を受けることが出来た。14年後という時間の中でようやく完成したトンネルが開通間際になった時に司祭ががけ崩れに巻き込まれて大怪我をおってしまう。彼が息を引き取る前にダンテスにモンテクリスト島に眠っている財宝の在り処を遺言として残して司祭はこの世を去った。そして司祭を入れ替わる形で島の脱出に成功したダンテスは、何とかモンテクリスト島の財宝を手に入れることに成功し、莫大な財産を元手に屋敷を買って、自身の名前を『モンテ・クリスト伯』と改名し、自身を貶めたすべての人間に復讐することを決意するのだった。そんなときに参加したパリの社交界で、かつて愛し合ってたメルセデスがモンデーゴの妻となっていたことを知って絶望に苛まれてしまう。そして彼女達のそばには一人の少年がいることもあって、時間が過ぎてしまったことへの享受をしたくないまま復讐を果たそうとしていた。しかしメルセデスはクリスト伯がかつて自分が愛したダンテスであるという事に気付くと、メルセデスは今でも愛していること、そして子供であるアルバートはモンデーゴの子供でなく、クリスト伯の子供であることも明かすのであった。そのことをしったクリスト伯はメルセデスとアルバートの二人を取り戻すためにモンデーゴと対決して、彼の死の制裁として刺殺するのであった。その後、復讐を遂げることに成功したクリスト伯は、メルセデスとアルバートの本当の意味で家族となり、幸せな日々を過ごすことになるのであった。

キャスト

  • エドモン・ダンテス/モンテ・クリスト伯:ジェームズ・カヴィーゼル
  • フェルナン・モンデーゴ:ガイ・ピアース
  • メルセデス:ダグマーラ・ドミンスク
  • ファリア司祭;リチャード・ハリス
  • ヤコボ:ルイス・ガスマン
  • J・F・ヴィルフォール:ジェームズ・フレイン
  • クラリオン・ヴィルフォール:フレディ・ジョーンズ
  • ダンテスの父:バリー・キャシン
  • ルイジ・ヴァンパ:J・B・ブランク
  • モレール:パトリック・ゴッドフリー
  • ナポレオン・ボナパルト:アレックス・ノートン
  • アーマンド・ドルレアック:マイケル・ウィンコット
  • アルベール・モンデーゴ:ヘンリー・カヴィル

原作との相違点

大幅な改変ということでないようそのものが変わっている箇所が多く、原作には登場しないようなキャラクターも多く散見している。またフェルナンに関してもメルセデスの事は原作では愛しているような設定ではなく、自分よりも地位も身分も低いダンテスが自分以上に幸せに満ち溢れているということに対して、その幸せを根こそぎ奪ってやろうということが映画版では改変されてストーリーとなっている。個人的にはこちらの内容をそのまま劇場内容としてやったほうが、モンデーゴを悪党らしい悪党に仕立ててより勧善懲悪的な方向に持っていけたのではないだろうか、とも思ってしまう。しかしそれでは味がなかったのかもしれないので、映画の内容も一概に間違っていないとは言えないのも事実だ。

その後の話もフェルナンは刺殺されるのではなく、自分が持っていた全てのものを失ったことで発狂して自殺を図るという原作の展開から大きく逸脱しているのがよく分かる。また何より異なっているのが、映画ラストとなっているメルセデスとアルバートの3人でもう一度家族として歩き出すという話も、原作では異なる女性と結ばれるという話になっている。これは一人の女性が何十年という時間が経っても、唯一無罪だということを信じており、体は他の男性にゆだねることになっても心はずっと一途に主人公を思っているという、永遠性を感じさせるないようは実に創作品としてのテーマではありがちだが、こういったシンプルな内容ほど好まれている傾向も強いというのも頷けるものだ。何だかんだで、引き裂かれることになっても再会したことで再び燃え上がる愛というのは、定番中の定番展開として好かれているということなのかもしれない。

アルベール・モンデーゴとしてのヘンリー・カヴィルさん

カヴィルさんはこの作品においては、クリスト伯の息子とメルセデスの息子であるアルバートを熱演している。子役かと思ったが、当時19歳前後ということもあって、子供の成長としては少し年齢が高すぎるのではないだろうかと思ってしまう。そもそもそこまで成長した息子が突然母親と再会した昔の許婚で、おまけに自分の本当の両親だなんて衝撃事実を受け入れて、よく家族3人新しい生活をはじめようと思ったものだ。本来ならありえないですよね、そこまで成長した息子なら騙していると考えてもおかしくないと思うのですが、そこはまぁ作品としての展開で大目に見てあげるべきなのかもしれない。現実ではこんなことになったら、まず拒否されること確実ですけどね。